下請けを脱する決意
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ある家の玄関側で作業していたときの事、足場の揺れと同時に庭側から、「ドタンッ」といかにも足場の上から落ちた大きな音がした。
急いで庭側に回ってみるとそこには木部を修理していた大工が頭から真っ赤な血をポタポタ流しながらうずくまっていた。 頭を切り肩の骨を折ったのだ。 落ちたところが芝生だったため、それくらいのケガで済んだ。 過去に足場から落ちて死んだ職人がいるというのは何回か聞いたことがあるので、 ケガだけで済んだのは幸いと言われるかもしれない。 でも実際足場から落ちたという事実を私の現場で実際にこの目でみてしまうと恐ろしくなってしまった。 後から落ちた経緯について聞いたのだが、あまりの暑さの為にお客から出された冷たい水を飲んだ直後、 足場のパイプにつかまっているはずの手に力が入らなくなり落ちてしまったと言っていた。 |
毎月少しでもゆとりのある生活をと時間に追われ、目標の現場数をこなしていけなければやっていけない。
体力的にも精神的にもキツイものがある。仕事は足場の上。心に余裕が無ければ不注意も起こしやすく、危険性も増す。 実際に落ちかけたことは私と従業員を含め全員経験している。 大工が落ちたとき私の妻は妊娠していた。もし長男と妊娠している妻を残して…なんて事を思うと怖くなる。 更に私と同様、従業員二人にも妻子がいる。私ならまだいいかも知れないが、従業員が落ちて死んでもしたら取り返しの付かない事になる。 それほど忙しくしなければやっていけない仕事に対しこの先にすごく不安を感じた。 この不安とそして多くの人に、長持ちする塗り替えを提供しようという強い思いが重なったとき、私はこの自己防衛策を書く決意をした。 そこで、使う塗料を考え、塗料の選択から始めたのだが、長持ちする塗り替えといっても、今主流に使われている塗料ではせいぜい八年で、壁以外の木部鉄部に至ってはペンキの限界から五年前後。 |