悪い噂
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残念な事だが、現実はというとほとんどが、その材料の節約に走らなければならなくなってしまっている。
過去に何度か他の下請け職人と隣りあわせで現場に入ったことがある。 やっぱり他の職人の仕事が気になるし、恐らく向こうも同じだろう。 同業者があからさまに見ていても失礼なので、自分の仕事をしながらチラチラ見ていたのだが、 結論から言えば材料の量には驚いた。 それだけの量の塗り方に驚いた。 塗料の缶を見てゴム状になる塗料だと分かったのだが、この塗料の場合はネットリして粘度が高いのでローラーで壁を塗った場合、小さな「ネチャネチャ」という音がするか、もしくはほとんど聞こえない。この時はローラーを壁に強く力をいれ、押し付けて転がして塗っている「ゴリゴリ」という音が隣の家にいてもハッキリ聞こえてきた。 当然音がするほど強く押し付けて塗っていれば塗料に厚みが付く訳はない。 やっと色だけついている感じになる。 |
私は塗料屋には良く行くが、金物屋にはそれほど行かない。
しかし塗料屋に置いてあるもの以外に必要なものも出てくるので、たまに金物屋に行くときがある。 金物屋にはある五ヶ月間の間に、現場近くのそれぞれ違う三件の店に行った。 今から話すことがとても印象的だったので五ヶ月間で三件という数字を覚えていた。 ペンキの付いた私の格好を見れば一目でペンキ屋とわかる。 その内二件の金物屋の主人が、ペンキ屋である私にこの大手の話をしだした。 私がしたのではない、向こうから話し掛けてきたのだ。 |